ひっそりヲタなはなし。 えば熱復活中(ミサ加持限定)。
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(・・・まるで雪みたい)
針槐樹の花は蝶のような形で可愛らしい
それぞれ寄り添って藤のようなぷっくりとした総を沢山付ける
その花は見頃を過ぎて雪のように花びらを散らしていた
(綺麗だなぁ)
(『ニセアカシア』なんて名前で呼ばれ何だか可哀相ね)
そんなことを思う
本当のアカシアの花は黄色くてミモザのようだけれど
わたしは白い花の針槐樹の方が好きだった
(雪か・・・)
最後に雪を見たのは14歳の時だった
父に連れられて行った南極で
・・・セカンドインパクトに遭遇した南極で
あの時は酷いブリサードだった気がする
あれ以来日本では雪が降らない
永遠に続くかと思うような夏が何年も続いた
昔の四季の様に少しずつ気温の変化が出始めた頃
生態系もそれと歩みを同じにするように戻り始めたが
それでも雪を見ることはない
針槐樹の並木道にぽつんと置かれたベンチにわたしは座り
雪のように散り続ける針槐樹の花びらを眺めていた
加持くんと別れよう・・・そう思った
けれど結論は出ていても
自分の気持ちをなかなか整理することが出来ずに
大学へ行った加持くんがいないアパートを抜け出して
ふらふらと宛てもなく歩く
抜けるような青い空が広がるこんな日は
どこまでも歩けるような気がして
気が付けばいつの間にかわたしは
この針槐樹の並木に紛れ込んでいたのだった
平日の昼間
学生が多いこの町だからか
誰もいない並木道
(・・・まるでわたしの為の様に散ってくれているみたい)
別れを切り出せない加持くんの為にも自分の為にも
わたしから離れるしかないのは分かっているのに
すっとどう告げたらいいのか言葉が見つからなかった
(嫌いな訳でもないのに・・・)
(何かこゆの変だよね)
加持くんが変わったのはいつからだったっけ
夜遅く泥酔して家に帰って来る日が多くなり
そのうちいろんな女のコと遊び歩いている噂が耳に入り
その中にわたしの友達の名前も混じっていて
もうどうしていいか分からなかった
でも友達のコトコやキヨミが
・・・というのも彼女達も加持くんに誘われてた
そんなふたりが荒れ気味のわたしに加持くんの事を話したのだった
『加持くんはミサトのことが一番大事なんだよ』
『わたしも達含めてどの女のコと遊んでいても
お酒入るとミサトとの惚気話になっちゃうんだもん』
彼女達は本当にわたしと加持くんの事を心配してくれていた
そんな友達に恵まれた事を感謝しつつも
本当に彼女達の言う通りなら
何故加持くんはわざわざわたしが誤解する事をするのだろう
ただわたしの中で結論はすぐに出た
加持くんはきっとわたしに嫌われようとしている
それはわたしから離れたいということだよね
付き合ってから2年が経とうとしていた
いつしか加持くんはあまり笑わなくなり難しい顔をする事が増えて
その視線の先にはわたしの知らない違う世界を見ているようで
それが父と重なった
南極で最期に見た父と
まるで父の様に家族を・・・わたしを顧みず
何処までも遠い所へ行ってしまうのではないかと
加持くんに父を重ねている事に恐怖を感じた
そしてわたしも忘れていた事に気づいた
あの時コトコが笑顔でわたしを励ます様に言ってくれたこと
『一番最初にゴールインするのはミサト達だと思ってるんだからね』
普通ならきっと嬉しいはずなのに・・・
その言葉にわたしは何故か安心する所か凍りついたのだ
加持くんが好き
もうどうしようもない位に
それなのに
わたしは加持くんとの今だけあれば良かった
その先・・・近い将来のことさえ何も考えられない
全く白紙、真っ白だ
あの時からずっと頭にあること
自分が何故助けられたのか
自分が何故独りぼっちになってしまったのか
自分が何故今生きているのか
わたしにはやるべき事があったはずで
その為にこの大学を選んだはずだった
そして先に見える物はそれしかなかったのに
見て見ない振りをして
その事を自分の何処かに封印してしまった
だって出会ってしまったのだ
最初はとんでもないヤツだと思ったし
付き合うなんてあり得ないって思ったのに
気がつけば加持くんとの恋に夢中になって
コントロールが効かなくなって溺れていった
でも今は
父親と加持くんを重ねて不安でたまらない事も
加持くんだけを見過ぎて自分の生きるべき道を忘れていた事も
目の前に突きつけられた現実なのだ
わたしの心は自己嫌悪と後悔でいっぱいになる
ふと一番頼れる友人の顔が浮かぶ
(全部話してしまおうかな・・・)
リツコの番号をケータイに表示してから画面を消す
(こればかりはリツコに相談するわけにもいかない・・・か)
もうすぐ夏休み
しかし今年のわたしにはそんな休みはない
夏休みに入ってすぐ大学を一時的に去る事になっていたからだ
その事を暫く口外してはいけない守秘義務もあった
(リツコにはきちんと後で連絡すれば分かってくれるよね)
わたしの荷物は少ないから大丈夫
アパートを引き上げたら余計な物は捨てて
すぐに寮に入るだけだし
(しっかし厳しいよな〜 )
(いきなり7月半ばからって早すぎだし)
なんて思うとなんだか自然に笑みが出た
けれどそんな自分の笑みとは反対に心の中は寂しかった
(・・・でもその方が忘れられるかもしれない)
ずっと加持くんと一緒にいるしあわせだけを感じていたかった
でもきっと加持くんはそれを望んでいない
わたしがだだを捏ねて加持くんにしがみついても彼が困るだけ
そしてわたしもこの先やるべき事が待っている
例え一緒にいられたとしても加持くんを巻き込む事は出来ない
(理由なんてなんとでも作ればいい)
わたしは自分に言い聞かす
(・・・ちゃんと終わらせよう、夏休みが始まる前には)
白い花びらはベンチに腰掛けているわたしにも次々と舞い降りてくる
針槐樹の花の香りは散りかけているとはいえ
並木道の空気を変えるほど強い
その甘さに加持くんを重ねる
今はむせ返るような香りに酔っていたかった
針槐樹の花は蝶のような形で可愛らしい
それぞれ寄り添って藤のようなぷっくりとした総を沢山付ける
その花は見頃を過ぎて雪のように花びらを散らしていた
(綺麗だなぁ)
(『ニセアカシア』なんて名前で呼ばれ何だか可哀相ね)
そんなことを思う
本当のアカシアの花は黄色くてミモザのようだけれど
わたしは白い花の針槐樹の方が好きだった
(雪か・・・)
最後に雪を見たのは14歳の時だった
父に連れられて行った南極で
・・・セカンドインパクトに遭遇した南極で
あの時は酷いブリサードだった気がする
あれ以来日本では雪が降らない
永遠に続くかと思うような夏が何年も続いた
昔の四季の様に少しずつ気温の変化が出始めた頃
生態系もそれと歩みを同じにするように戻り始めたが
それでも雪を見ることはない
針槐樹の並木道にぽつんと置かれたベンチにわたしは座り
雪のように散り続ける針槐樹の花びらを眺めていた
加持くんと別れよう・・・そう思った
けれど結論は出ていても
自分の気持ちをなかなか整理することが出来ずに
大学へ行った加持くんがいないアパートを抜け出して
ふらふらと宛てもなく歩く
抜けるような青い空が広がるこんな日は
どこまでも歩けるような気がして
気が付けばいつの間にかわたしは
この針槐樹の並木に紛れ込んでいたのだった
平日の昼間
学生が多いこの町だからか
誰もいない並木道
(・・・まるでわたしの為の様に散ってくれているみたい)
別れを切り出せない加持くんの為にも自分の為にも
わたしから離れるしかないのは分かっているのに
すっとどう告げたらいいのか言葉が見つからなかった
(嫌いな訳でもないのに・・・)
(何かこゆの変だよね)
加持くんが変わったのはいつからだったっけ
夜遅く泥酔して家に帰って来る日が多くなり
そのうちいろんな女のコと遊び歩いている噂が耳に入り
その中にわたしの友達の名前も混じっていて
もうどうしていいか分からなかった
でも友達のコトコやキヨミが
・・・というのも彼女達も加持くんに誘われてた
そんなふたりが荒れ気味のわたしに加持くんの事を話したのだった
『加持くんはミサトのことが一番大事なんだよ』
『わたしも達含めてどの女のコと遊んでいても
お酒入るとミサトとの惚気話になっちゃうんだもん』
彼女達は本当にわたしと加持くんの事を心配してくれていた
そんな友達に恵まれた事を感謝しつつも
本当に彼女達の言う通りなら
何故加持くんはわざわざわたしが誤解する事をするのだろう
ただわたしの中で結論はすぐに出た
加持くんはきっとわたしに嫌われようとしている
それはわたしから離れたいということだよね
付き合ってから2年が経とうとしていた
いつしか加持くんはあまり笑わなくなり難しい顔をする事が増えて
その視線の先にはわたしの知らない違う世界を見ているようで
それが父と重なった
南極で最期に見た父と
まるで父の様に家族を・・・わたしを顧みず
何処までも遠い所へ行ってしまうのではないかと
加持くんに父を重ねている事に恐怖を感じた
そしてわたしも忘れていた事に気づいた
あの時コトコが笑顔でわたしを励ます様に言ってくれたこと
『一番最初にゴールインするのはミサト達だと思ってるんだからね』
普通ならきっと嬉しいはずなのに・・・
その言葉にわたしは何故か安心する所か凍りついたのだ
加持くんが好き
もうどうしようもない位に
それなのに
わたしは加持くんとの今だけあれば良かった
その先・・・近い将来のことさえ何も考えられない
全く白紙、真っ白だ
あの時からずっと頭にあること
自分が何故助けられたのか
自分が何故独りぼっちになってしまったのか
自分が何故今生きているのか
わたしにはやるべき事があったはずで
その為にこの大学を選んだはずだった
そして先に見える物はそれしかなかったのに
見て見ない振りをして
その事を自分の何処かに封印してしまった
だって出会ってしまったのだ
最初はとんでもないヤツだと思ったし
付き合うなんてあり得ないって思ったのに
気がつけば加持くんとの恋に夢中になって
コントロールが効かなくなって溺れていった
でも今は
父親と加持くんを重ねて不安でたまらない事も
加持くんだけを見過ぎて自分の生きるべき道を忘れていた事も
目の前に突きつけられた現実なのだ
わたしの心は自己嫌悪と後悔でいっぱいになる
ふと一番頼れる友人の顔が浮かぶ
(全部話してしまおうかな・・・)
リツコの番号をケータイに表示してから画面を消す
(こればかりはリツコに相談するわけにもいかない・・・か)
もうすぐ夏休み
しかし今年のわたしにはそんな休みはない
夏休みに入ってすぐ大学を一時的に去る事になっていたからだ
その事を暫く口外してはいけない守秘義務もあった
(リツコにはきちんと後で連絡すれば分かってくれるよね)
わたしの荷物は少ないから大丈夫
アパートを引き上げたら余計な物は捨てて
すぐに寮に入るだけだし
(しっかし厳しいよな〜 )
(いきなり7月半ばからって早すぎだし)
なんて思うとなんだか自然に笑みが出た
けれどそんな自分の笑みとは反対に心の中は寂しかった
(・・・でもその方が忘れられるかもしれない)
ずっと加持くんと一緒にいるしあわせだけを感じていたかった
でもきっと加持くんはそれを望んでいない
わたしがだだを捏ねて加持くんにしがみついても彼が困るだけ
そしてわたしもこの先やるべき事が待っている
例え一緒にいられたとしても加持くんを巻き込む事は出来ない
(理由なんてなんとでも作ればいい)
わたしは自分に言い聞かす
(・・・ちゃんと終わらせよう、夏休みが始まる前には)
白い花びらはベンチに腰掛けているわたしにも次々と舞い降りてくる
針槐樹の花の香りは散りかけているとはいえ
並木道の空気を変えるほど強い
その甘さに加持くんを重ねる
今はむせ返るような香りに酔っていたかった
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